コンピューター支援エンジニアリング (CAE)

コンピューター支援エンジニアリングは、何十年にもわたって製品エンジニアリングに使用され、成功を収めてきました。それに加えて、忠実度の高いモデリング・アプローチと、十分に正確な結果をより速く取得できる実用的なモデリング・アプローチの両方について、継続的な開発が続いています。エンジニアは、最小の計算工数でエンジニアリングの問題を解くために、ニーズに最も適した精度レベルを選択できなければなりませんが、今日ではそれが可能になっています。数パーセント以下の誤差で実際の動作を予測できる高忠実度のモデリング技術から、傾向を素早く予測できる迅速な手法まで、CAEの精度は多岐にわたります。

それに基づいて、CAEツールの認証・検証プロセスがしっかりと確立されています。こうしたプロセスは、CAEの進歩、デジタルツインの確実性と信頼性、そして新しい分野での確立に不可欠な要素であり続けるでしょう。予測シミュレーションにより、高コストな測定やプロトタイピングが今後、あまり必要とされなくなるとしても、厳密なCAE手法と実験によるベストプラクティス検証は引き続き必要です。

CAEを学ぶには、時間と献身、徹底的な学習と実践が必要です。自分が属する領域の基礎的な物理特性を理解し、数値的手法とその限界を把握するとともに、実際のCAEソフトウェア・ツールを実践的に使用することがきわめて重要です。最新のCAEソフトウェアの自動化、計算能力の向上、ユーザー・インターフェースの絶え間ない改善のおかげで、忠実度の高いCAEはすべてのレベルのユーザーにとって使いやすさが向上していくため、結果の探索とシミュレーション・ベースの意思決定へと焦点が移るでしょう。さらに、基本的な物理的要因を理解して結果を判断し、CAEの結果に基づいて意味のあるエンジニアリング上の判断を下せることも重要です。

CAEソフトウェアは、さまざまな物理特性が製品設計やシステムに与える影響を理解、予測しなければならないエンジニアリング領域に幅広く使用されています。CAEは産業用製品の開発分野で特に進化しており、現在は、複雑な形状のマルチフィジックス動作シミュレーションが可能なため、企業は製品設計案を仮想で理解、最適化してから物理プロトタイプに移行するようになってきました。

CAEを採用している業界の例

• 航空宇宙
• 自動車
• コンシューマー製品
• 造船/洋上プラント (船舶、推進システム、エンジンの設計)
• エレクトロニクス
• エネルギー (原子力、石油、ガス、発電)
• 建物関連サービス
• ライフサイエンス
• ターボ機械
• スポーツ
• 構造、振動、電磁気、音、熱、流体を含むその他の一般的な分野

CADとは、手作業での製図や製品プロトタイプに代わる方法として、コンピューター・プログラムを使用して、物理オブジェクトの2Dまたは3Dグラフィカル表示を作成、変更、解析、文書化することです。CADは、部品や製品のジオメトリのみに焦点を当てています。

CAEは、開発プロセスのCADの次のステップに該当します。エンジニアは、CADで定義された部品や製品をシミュレーションして、設計が期待どおりに機能して要件を満たすかどうかを理解できます。CADデータはCAEプロセスでも使用されます。CAEエンジニアは、CADで定義されたジオメトリに基づいてシミュレーション・モデルを作成します。シミュレーションの結果から、エンジニアは設計が要件を満たしているか否かを知ることができ、性能向上のためにどのように設計を変更したらよいかを考え出せます。

CADとCAEの併用は反復設計プロセスであり、物理プロトタイプの作成を前提とした物理試験方法よりも時間をかけずに、革新的な新製品を迅速に開発できます。